- 詞:山口里子
- 曲:平良愛香、鈴木英司
1.あなたの言葉は 春を呼びさまし、私の心に歌が生まれてくる。
深みのなかから 解き放たれて、私の心に歌が生まれてくる。
いのちの大地にメロディあふれ 私の心に鳴リひびく。
あなたはいのち、すべてを生かし、ささえあう手と手に ぬくもりくださる。
2.あなたの霊は やわらかく臨み、私の心に風が生まれてくる。
ひとりぼっちから 解き放たれて、私の心に風が生まれてくる。
恵みの豊かさ気づかされ、私の心は満ちたりる。
あなたは恵み、すべてを満たし、分かちあう心に 喜びくださる。
3.あなたの真実は 魂にふれて、私の心に夢が生まれてくる。
新たな世界へ解き放たれて、私の心に夢が生まれてくる。
明るくかがやく陽ざしのなか、私の心は開かれる。
あなたこそ自由、すべて解き放ち、信じあう心に あしたをくださる。
だっていつも こころのなかに いてくれるから
□ 作者より
ライアン・レン(Brian Wren)という牧師・神学者・詩人が、とても長い題の本を書きました。『どんな言葉を借りよう? 神を語る礼拝で:フェミニスト神学への一人の男の応答』(1989)。レンは、言葉が持つ力の大きさを知っています。そして、今の社会も教会も、男中心の考え方を再生産する言葉に溢れていると気づきました。神を、父とか主と呼び、全能の男の支配者・保護者をイメージする言葉を使い続けることは、イエス・キリストが指し示した神との出会いをひどく妨げているし、私たちの人間理解や考え方や行動にも歪みを生んでいると考えました。そこで、これまでとは異なる豊かな出会いを促すように、新しいイメージを広げる賛美歌を本で紹介したのです。レンの賛美歌は『讃美歌21』にも入れられていますが、彼が意図的に避けた「主」という言葉が日本語版では使われていて、とても残念です。
日本語の賛美歌で私が気になるのは、新しいものでも、全体にイエス・キリストが主役で、神のイメージが余計に男に偏って狭められていること。神は男言葉で語り、私たちのことは「ボク」が使われて、男中心の表現が当たり前のようになっていること。それで、神のことも、神と人の関係も、新しいイメージで思い描ける賛美歌が沢山欲しいと思います。この賛美歌は、作曲のお二人に助けられて、一つの例という気持ちで作りました。(山口里子/作詞)
里子さんから「わりと前に作った詩だけど、この詩に歌いやすい曲をつけることって可能?」という問い合わせがあってから、実は締め切りが迫っていることが分かりました。新教出版社から出版する「いのちの糧の分かち合いーいま、教会の原点から学ぶ-」の中に載せたかったもよう。とりあえず作ってみたものの、今度は歌詞が曲にうまく乗らず、難航しました。伝えたい意味を壊さないように言葉を選ぶ作業が大変でした。(平良愛香)
この曲は3人で作りました。その曲づくりの過程でどうしても避けて通れない問いが出てきました。「この曲で一番言いたいことは?」「自分のどんな体験がもとになっているの?」「どんな人に歌ってもらいたいの?」この3つの問いを3人で分かち合ったのです。それは予期しなかった新鮮な体験でした。より多くの人がこの曲と出会い、ともに思いを分かつことができれば大変うれしいと思います。(鈴木英司)
□ 歌い方のポイント
のびのびと自由に歌っていただきたいです。ときに、緑の木陰でおいしい食卓を用意して、「さあ疲れた人、お腹がすいている人は、誰でもみんなここにいらっしゃ~い」と呼びかけるおばさんのような神さまを創造したり、ときに、しわがいっぱいの温かい手で背中をさすりながら寄り添う、おばあさんのような神さまを想像したりして。(山口里子)
●(サンプル音源は準備中です。しばらくお待ちください)