- 原詞:尹東柱 1941
- 編詞/曲:川上 盾 1997
死ぬ日まで天をあおぎ
一点の恥ずることなきを
木の葉にそよぐ風にも
わたしは心痛めた
星を歌う心で すべて
失われしものいとおしまねば
そしてわたしに与えられた道を
歩みゆかねば
今宵も星が風に
風にむせび泣いてる
(原詩)
死ぬ日まで 天をあおぎ
一点の恥ずることなきを
葉あいを 縫いそよぐ風にも
わたしは 心痛めた
星を うたう心で
すべて死にゆくものたちをいとおしまねば
そしてわたしに与えられた道を
歩みゆかねば
今宵も 星が 風にむせび泣く
(同志社尹東柱詩碑建立委員会訳)
□ 作者より
尹東柱(ユン・ドンジュ)は、戦前の朝鮮に生まれたクリスチャン詩人です。日本の植民地化にあった朝鮮から詩の勉強をするために日本に留学し、立教大学と同志社大学に学びました。日本の朝鮮支配に痛みと憤りを感じつつその日本に留学をするという複雑な心境の中、当時使用することを禁じられていた朝鮮の文字・ハングルによる詩作を続け、そのことが原因で同志社在学中に「治安維持法違反」により逮捕・投獄、日本の敗戦の半年前に27歳の若さで獄死しました。存命中は無名の詩人でしたが、密かに作っていた手製の詩集が戦後発見され、その詩の内容と生き様から「抵抗の詩人」として韓国では今も高い評価を得ている人です。
その詩集の「序詩」として書かれたのが、「死ぬ日まで天をあおぎ」です。祖国の悲しみを胸に抱きながら詩作に臨む決意が込められており、大変胸を打つ詩の言葉です。そして日本人のひとりとして、このような才能豊かな若者を死へと追いやった戦時中の歴史に、深い反省を覚えずにはいられません。
同志社大学のキャンパスにはこの詩文を刻んだ記念碑が建てられています。その詩の言葉を元に曲をつけさせていただきました。同じ学び舎に学んだ後輩の一人として、尊敬の念を抱きつついつも歌わせてもらっています。(川上盾)
□ 歌い方のポイント
朝鮮のリズムは三拍子。しかも八分音符三連符の中を抜いた「シャッフル」のリズム(チャッチャ・チャッチャ・チャッチャ)がピッタリと合うように思います。シャッフルと言えば、アメリカ黒人の魂の叫び『ブルース』が有名ですが、朝鮮の民謡にも歴史の悲しみから生まれた『ブルース』を感じます。ゆっくりと歌って下さい。(川上盾)
●(サンプル音源は準備中です。しばらくお待ちください)